ふたりのガーディアン
「なぁ」


「ん?」


「卒業しても、俺と会ってね」


「どうしたの?」


「卒業しても、ずっと友達でいて欲しい。

学校が違っても、時々はこうして会って欲しい」


「…うん。そんなのもちろんだよ」


「良かった」


私だって、瀬名君に会いたいもの。


川の流れをじっと見つめていたら、瀬名君が右手で私の左手をそっと握った。


親指で私の指を優しく撫でる瀬名君。


その感触に、トクンと心臓が優しい音を立てた。


ふと、瀬名君を見上げる。


綺麗な優しい瞳が、私の動きを止める。


私はたまらず、視線だけを落とした。


ドキドキしていると、瀬名君の顔がゆっくり近づいて来て。


次の瞬間。


瀬名君の唇が、私の唇にきごちなく触れた。


少しだけ触れたその唇は、すぐに離れていき……。


だけど私の顔のすぐ近くに、まだ瀬名君の顔があって。


またゆっくり近づいて来て、そっと唇が重なった。


今度はさっきよりも、少し深く。


私は目を閉じて、瀬名君の上着にぎゅっとしがみついた。


その瞬間、二人で羽織っていたダウンが落ちて、瀬名君が私の頬を両手で包み込んだ。
< 828 / 932 >

この作品をシェア

pagetop