ふたりのガーディアン
卒業式って、人生の中で大きな節目なんだと思う。


こんなに沢山の人がいるのに、シンと静まった体育館の中で、卒業証書を受け取る瞬間は、なんだか厳粛で神聖な儀式のようだった。


担任の先生の最後の挨拶を、泣いて聞く子もいれば、そうでもない子もいて、人それぞれの卒業なんだと妙に冷静に思った。


最後のホームルームが終わると、さっちゃん、斉藤君、渋谷君、そして瀬名君が1組にやって来た。


みんなで中庭に出て、一緒に何枚も写真を撮る。


「今日でみんなとお別れだなんて、名残惜しいわね」


「え~ん。さみしいよ~」


さっちゃん、目が真っ赤だ。


「まだ試験の合否もわかんねーのに、卒業って言われても実感ないよな」


渋谷君がそう言って苦笑いする。


そうだよね。


国公立の発表はこれからだもんね。


「竹内は…どうすんの?」


「大丈夫だよ、渋谷君。

私、ちゃんと考えてるから」


「そう?ならいいんだけど」


もう、決めてるよ。


自分がどうするか…。
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