ふたりのガーディアン
「蒼甫ー。写真撮ろう」


静華に呼ばれて、みんなの輪に入る。


瀬名はいるけど、優月の姿はない。


もう帰ったんだ。


どうして?


せめて、最後に一度くらい顔が見たかったのに。


みんなで何枚か写真を撮ったけど、なんだかちっとも笑えなかった。


「あれ?蒼甫君のそのストラップ」


さっちゃんが、俺のズボンの後ろポケットから飛び出しているストラップを指差す。


「優月ちゃんとお揃いだね」


え…?


「あら本当ね。でもさっちゃん。こっちは男の子みたい。優月ちゃんのは女の子のクマだったわ」


「ねぇ、蒼甫君。そのストラップちょっとよく見せて」


さっちゃんに言われて、俺は携帯を差し出した。


まじまじと俺のクマを見つめるさっちゃん。


「静華ちゃん、これ。もともとはペアだったんだわ」


ペア?


「ほら見て。手のところ。スナップが付いてる。多分、もう片方のクマと手が繋げるんだよ」


「本当ね。蒼甫、このストラップどうしたの?」


どうしたって…。


「……拾った」


「はぁ?」


あの桜の木の下で。
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