ふたりのガーディアン
展望デッキに着くと、強い風で髪がはためいた。


初めて来たけど、すげー数の飛行機だな。


こんななか探そうとしてたのか。


行き先もわからないのに。


やっぱ俺って無謀かも…。


「あの飛行機だよ。まだ乗ってないと思うけど」


エア・カナダ?


「アイツ、どこに行くんだ?」


「トロントだよ」


俺はガクッと力を落としてしまった。


「まぁ、座ろうぜ。

出発までにはまだまだ時間があるし」


洋平に言われ、俺はベンチに腰掛けた。


洋平がコーヒーを買って来て、俺に手渡す。


「おい。俺、コーヒー飲めねぇんだけど」


「は?知るかよ。

ブラックじゃねーんだから、ガマンして飲めよ」


「チッ」


「お前、舌打ちしやがったな!」


俺は仕方なく缶コーヒーのフタを開けた。


ぐっと一口飲む。


やっぱ、まずい…。


優月はコーヒーが好きだったな。


やべぇ。


また思い出した。

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