ふたりのガーディアン
「おーい、優月ー」


声のする方に視線を向けると、自転車に乗る蒼甫君の姿が見えた。


蒼甫君と自転車って、なんだかあまり結びつかないなーなんて、ちょっと思ってしまった。


「お疲れ。バイト大変だった?」


そう尋ねる蒼甫君は、今日も爽やかだ。


「ちょっとね。でも大丈夫だよ」


「おじきを紹介するからさ、後ろに乗って」


えっ?ふ、二人乗り?


戸惑う私のことはお構いなしに、蒼甫君は私のバッグをさっと自転車の前のカゴに入れる。


私はドキドキしながら、横向きにちょこんと座った。


「しっかり掴まっててよ。落ちるから」


「うん」


言われて私は蒼甫君の脇腹に、そっと手を置いた。


自転車は海岸沿いをキコキコと走り出す。


蒼甫君とこんな場所で自転車の二人乗りをするなんて、なんだか不思議な気分だった。
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