ふたりのガーディアン
「蒼甫ー。このブーツどうするー?」


初めて聞く声に振り返ると、海から上がったばかりだと思われる女の人が立っていた。


「あー、一応水で流しといて」


蒼甫君が答えると、その女の人は了解~と言って行ってしまった。


誰だろう?


『蒼甫』って呼び捨てしてた。


多分、蒼甫君のサーファー仲間なんだろうけど。


しばらくすると、さっきの女性が服に着替えて戻って来た。


さっきとは随分印象が違う。


よく見るとすごく綺麗な人だ。


「セイさん、ブーツはバンに入れといたから」


「あいよー。お前、明日来るのか?」


おじさんが尋ねると、その女性はどーかな?気分次第と素っ気なく答えた。


「で、この子誰よ」


え?この子って?


もしかして私のこと?


さっきからこの人、私の事は全然見ていないんだけどっ。


「あ、高校の友達。
八さんとこで、今日からバイトしてんだよ」


「へぇ、珍しいね。蒼甫が海に女の子連れて来るなんて」


「ほらよ。チャリのカギ」


そう言うと、蒼甫君は自転車のカギをその女の人に投げた。


「自転車貸せって言ったのは、この子を迎えに行くためだったのね」


「うん」


うっ。


さっきの自転車は、この人のだったんだ。
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