ふたりのガーディアン
「アイツ、優月ちゃんに自分が波乗りしてるところを、見せたかったんじゃないかな?」


蒼甫君が?


どうして、私に見せてくれるんだろう?


特別…。


前にそう言ってくれたっけ。


すごく嬉しい。


しばらくすると、蒼甫君がボードを持って、砂浜へとゆっくり歩いて来るのが見えた。


後ろには、静華ちゃんもいるようだ。


「優月、バイト終わったんだね。お疲れ」


「蒼甫君、見たよ。すごくカッコよかった」


「マジで?ありがと」


「寒くないの?」


「これ着てたら、わりと平気なんだ」


「へぇぇ、そうなんだ」


ウェットスーツを着た蒼甫君に、なんだかドキドキしてしまう。


「蒼甫」


向かい合って話す私達の様子をじっと見ていた静華ちゃんが、急に口を開いた。


「なんだよ」


ダルそうに答える蒼甫君。


「鼻の下伸ばして気持ちわるっ」


「あぁ~っ?るさいなー静華は」


「だってホントの事じゃんよー。蒼甫、デレデレし過ぎー」


「お前、マジうるさい」


「ふんっ。べーっ」


「あーっ、ムカつく!おい、こら!待てっ」


舌を出した静華ちゃんを追いかける蒼甫君。


幼なじみって、兄妹みたいな感じなのかな?


サーフィンをしている姿も、おじさんや静華ちゃんとのやりとりも。


学校とは違う蒼甫君の姿に、私は知らない人を見ているような気分になっていた。
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