シュシュ
「まぁ、そうカリカリするな、薫子」

そう言って中に入ってきたのは・・・


「・・・お父様」

そう、私の父でもあり、星野建設の会長をしてる

星野 清太郎(60)。


私をソファーに座るよう促した父は、

反対側に静かに腰を下ろした。


「今回のお見合いは、断ってくれて構わん」

「・・・え」

驚く私に、父は溜息をつき、苦笑いをした。


「星野建設は、由緒正しき、

星野組が今まで一丸となって頑張ってきた会社だ。

あんな男に潰される会社じゃない・・・

一人娘の薫子だって、あんな男にとられてたまるか」


「・・・」


星野組。

組、とつけば、皆さんお分かりになると思いますが、

極道と言えばもっとわかりやすいでしょうか?

その星野組が、今や、建設業界、一、二を争う程の、

大きな企業になった。

もちろん、父、清太郎の人徳と、母、マリアの、

汗と涙の結晶と言うべき功績・・・


父と、母にたくさんの愛情を注がれ、

私も龍之介も、大きくなった。
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