シュシュ
・・・お父様の言葉に言葉を失う。

だって、私なんかの事で、どうでもいい職場に入り、

部長のポストにまで上りつめちゃうんだよ?

・・・しかも、私が入社する前から、

西条に入社しておかないと、部長なんて大事な役職には就けない。


「お父様」

「…どうした、薫子。珍しく真剣な表情をして?」


「もぅ!珍しくは余計です」

私の言葉に、お父様はハハッと笑った。


「で?どうしたんだよ、薫子?」

黙って私とお父様の会話を聞いていた龍之介が、

答えを急かした。


「…私、水野さんにお会いしたいです」

「「?!!」」

私の爆弾発言に、父も、兄も驚き顔。


「断って構わんと言っただろう、薫子」

「いえ、もちろん、お見合いをするつもりで会うわけではないんです」


「じゃあ、他に理由は?」


「何の目的で、私を手に入れたいのか、

それを聞きたいだけです」

「「・・・」」


「お願いします、お父様。

水野さんに、会わせてください」
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