シュシュ
「とりあえず、傷を消毒しましょう」

私は飛鳥さんにそう言って、家に上がるように促す。

その後ろを、少しバツの悪そうな顔の龍之介も後を追ってきた。

…もちろん謝ろうと思って。


すぐに傷の手当てをし始める私。

「・・・ッ!」

「すみません痛いですよね」

「…いや、大丈夫だ」


「…すみませんでした、早とちりしてしまって」

「・・・いや、あんなところにいた私にも責任があったのかもしれない。

ですが、誰と間違われたんですか?」


「・・・いえ、ちょっと」

「ストーカーと言ってましたけど、薫子。

そんな輩に付きまとわれてるのか?」

真剣な表情で私を見つめる飛鳥さん。


「そんな!・・・それはないです」

「・・・そうか?それならいいが」


「・・・ところで」

私と飛鳥さんを交互に見た龍之介が、話しを始めた。

「・・・なにか?」

飛鳥さんは聞き返す。


「どうして、社長ともあろう貴方が、

たかが受付嬢の薫子に、会いに来てるんですか?」


その言葉に、私も飛鳥さんも目を見合わせた。
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