シュシュ
・・・飛鳥さんの姿がない。

…いや、正確には、私をひしと抱きしめ、視界に入らないのだ。

「あ・飛鳥さん?」


「…聞こえたぞ」

「・・・へ?」


「今の言葉、確かにこの耳に聞こえたからな?

何が何でも、薫子を離さないからな、覚悟しろよ?」


耳元でそう呟いた飛鳥さんは、何も言わない私が気になったのか、

体を起こし、私を見下ろす。

…顔が熱い。…高熱でもあるんじゃないか?

それくらい、顔は真っ赤だ。

自分じゃわからないけど。


「お・・・お手柔らか・・に」

何とかその言葉を口にした。

すると、飛鳥さんの顔は、今までで一番、

穏やかな笑顔を作っていた。



…それから後の事は、夢見心地で、

何をしたのかわからない。

唯一憶えているのは、

生まれて初めてしたディープなキスをした事。


…ヤバいな、

飛鳥さんのキスに、ハマってしまったようだ。
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