シュシュ
・・・その夜は薫子を離すことはなかった。

朝、目が覚めると、薫子が静かに寝息を立てている。

…この寝顔を見るのは何回目か。

ずっとずっと、こうやって薫子と共にいられれば…

そんなことを思いながら、薫子の寝顔を見つめていた。


「…ぉはョぅ」

まだ夢見心地の薫子が俺の顔を見て、呟いた。


「・・・おはよう」

俺も静かな口調で返す・・・


すると、薫子は俺にすり寄って、キュッと俺を抱きしめた。

…ヤバいな。仕事なんか休んで、ずっとこうしていたい。

そんな衝動に駆られながらも、何とか冷静に帰す。



「今日も、仕事だ。そろそろ、起きた方がいいぞ」

「・・・そう、ですね」

…間もなくして起きた薫子と俺は、それぞれに身支度を済ませ、

別々に仕事に向かった。



本当に幸せな時間だった。


…だが、その幸せな時間は、最初で最後だった。
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