シュシュ
「何で?私何かした?」

「まさか、玲子さんはとても気の利く優しい先輩ですよ」


「…じゃあ、誰かに苛められた?薫子ちゃん可愛いし」

「違います、違います。職場に苛めをする人なんていませんでした」



「・・・男たちの色仕掛けがうっとおしくなった?」

「…色仕掛け、ですか?そんな事された覚えはないんですけど」

「・・・薫子ちゃんは鈍いから、気づかないかぁ」

「もぅ、なんですか、それ」

私の顔は少し緩んだ。

玲子さんは溜息をつき、寂しげな笑顔を作る。



「・・・辞めて、どうするの?」

「…実家の仕事を手伝います」

「・・・そう。薫子ちゃんの決意は固いみたいね。

わかった。でも、私とは先輩後輩じゃなくなっても、友人にはなれるよね?」


「・・・いいんですか、辞めちゃうのに」

「当たり前じゃない!こんなお人形さんみたいなかわいい子、

私はずっと友達でいたい…ダメ?」


「…玲子さん、ありがとうございます」

「もぅ、バカね、泣かないの」

「だって・・・」

泣いてしまった私を、玲子さんは優しく抱きしめてくれた。
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