シュシュ
…それから、玲子さんに告げていた月末。

私は辞表を提出した。

上司は、辞めるなと言ってくれたが、決めた事を曲げたくないと言って、

受け取ってもらった。


荷物の整理をし、ある程度の荷物を持ち、会社を出た。

「今日も、凄い荷物ですね」

「…石坂さん」


・・・こんな時に会いたくなかったな。

「どうするんですか、その荷物?」

「…家に持って帰るんです」


「一人で行けますか?」

「…大丈夫です、ありがとうございます」


私は一礼して、逃げるようにその場を離れた。

きっと外回りにでも行っていたんだろう。

…もうすぐ、飛鳥さんは、私の辞表を見る事になる・・・


連絡が来た時・・・その時、飛鳥さんに言わなくちゃいけない。

溜息をつき、私は家路についた。


…部屋の中に入るなり、私は何もする気にならなかった。

何もかも、どうでもいい、そんな気持ちだった。

…部屋が真っ暗になっている事にも気が付かず、ソファーに座ったまま、

ただぼんやりとしていた。
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