シュシュ
「君、薫子の・・・」

俺の言葉に、小さく頷いた。

そんな彼女の手を掴み、エレーベーターに乗り込んだ。

…当然ながら、驚き顔のみっちゃん。


「どうしても聞きたい事がある」

「…ですが、社長。仕事が」

慌てふためきながら、みっちゃんは言う。


「仕事なんてどうでもいい・・・」

「ですが」

「言い訳は俺がしてやるから」

「・・・」

その言葉で観念したのか、みっちゃんは溜息をついた。


「…分かりました。…ですが、この手を離してもらえますか?

変な噂が立つといけないので」


「…そうだな」

みっちゃんの指摘に、サッと手を離した。

社長室に連れて行き、応接用のソファーに座らせた。


「おはようございます、社長。・・・その方は」

「薫子の友人だ」

「…そうですけど、彼女経理課の子・・・」

「そうか、経理課か、石坂、経理課に電話して、鈴木・・・さんが

遅れる事を伝えてくれ。私の用が終わり次第、行かせると」


「・・・はぁ」

石坂は一礼すると、社長室を出ていった。
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