シュシュ

「薫子！」

…私はこの期に及んでも尚、

飛鳥さんに背を向けた。…自分の顔を見られたくなかった。

思ってもいなかった飛鳥さんからの言葉に、

嬉しすぎて、胸が一杯で、涙が止まらない。

…今の顔はきっと、涙でぐちゃぐちゃ。

化粧なんて、きっとボロボロに落ちて、誰も見れない顔に、

なってるに決まってるから。



…ギュッ。

飛鳥さんが、私を後ろから強く、強く抱きしめる。

その行動に、更に涙が加速する。

声も出ないほど嗚咽しながら泣きじゃくる私を、

クルリと、自分の方に向け、クスリと、笑う。


「・・・泣きすぎだ」

「・・グㇲ…ぅ・・・」


「ずっと俺の傍にいてくれ、薫子」

「・・・」


声なんて出せない。

だから、その代わりに、頷いて見せた。


それを確認した飛鳥さんは、ふんわりと、

包み込むように私を抱きしめた。