シュシュ
今から一週間ほど前。

入社式の新入社員挨拶をすることになり、会社に来ていた。

まだ入社式は数日後と言う事もあり、

今ここにいる新入社員は私一人だけ。

入社式の挨拶の言葉や、式の流れを聞いたりと、

慌ただしい一日を過ごした。

それが終わったのは、午後4時。

やっと帰宅を許され、私は安堵しながら、

会社を出た。

会社を出ると、階段がある。20段ほどで、

段差もさほどあるわけじゃないのに、

最後の3段ほどの所で、ヒールが何かに引っかかり、

その拍子に、足をグキッと捻り、下へと・・・

でも・・・

誰かの胸に上手く倒れ込み、足は捻ったものの、

大事には至らなかった。


「大丈夫ですか?」

私を支えてくれたのは男性のようだった。

スーツが目に飛び込んできたので、すぐにわかった。


「す、すみません、助かりまし…た」

ゆっくりと体を離し、その人に言った瞬間、

私はその人の顔にくぎ付けになっていた。

…だって、あまりにもハンサムで。


「足を捻ったようですけど?」

心配そうな顔でそう問いかけられ、

私は必死にジェスチャーで何でもないと言った。


「大丈夫です!大丈夫です!

大したこと、ありませんから」
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