シュシュ
「そうですか?・・・気をつけてくださいね?」

「はい、助けてくれて、ありがとうございました」


…それが彼との出会いだった。

もしかしたら、この会社の社員かなとは思っていたけど、

1000人近くもいる社員なので、

会う事などないと思っていた。

それなのに、こんなにも早く再会する事になるとは・・・


「大した事ないって言ってませんでした?」

そう言った彼の目線は、机の下に注がれていた。

…見つかってしまった。

彼がいなくなってから歩き出したものの、

痛みはひどくなる一方で、足首は腫れてくるし、

近くにある病院で診てもらったら、軽い捻挫だと言われ、

湿布薬と、テーピングの巻き方を教わった。

…入社式を休むわけにはいかないし、

入って早々、会社も休めないから。



「星野さんは、嘘つきなんだな」

「・・・え」

そう捨て台詞を吐いた彼は、その場を足早に立ち去ってしまった。

…嘘つきだなんて、人聞きの悪い・・・

私は椅子に座り直し、困惑する。


「薫子ちゃん、彼の事知ってるの?!」

「・・・知ってると言うか、助けてくれた人で・・・」


「え~。いいな~・・・社長に助けられるなんて」

・・・?

…シャチョウ???
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