シュシュ
玲子さんの言葉に、キョトンとした顔をする。

その顔を見た玲子さんは、眉間にしわを寄せた。


「…まさかとは思うんだけど」

「・・・なんですか??」



「自分の会社の社長の顔を知らないんじゃないでしょうね?」

「会社の…社長?・・・・」


何秒間考えていたかは分からない。

気が付けば、私はまた立ち上がっていた。


「ちょ、ちょっと!!!

座りなさいよ・・・仕事中よ」

玲子さんに無理やり椅子に座らされた。


「あ、あの、確認なんですけど・・・

今の男性は、西条株式会社の西条社長・・・ですか?」


「もぅ・・・何で気が付かないかなぁ?

気づくの遅すぎよ・・・入社式にもいたでしょう?」


「・・・ですよね」

…入社式の時は、緊張しすぎて、社長の顔なんて見てなかったし。

社長が話してる時も、必至に挨拶の言葉を読んでたし。



「玲子さん」

「・・・ん?」


「社長の私に対する印象は、最悪・・・みたいですね」

「あ~・・・さっきの感じからすると、そうかもね」

玲子さんの言葉に、私は撃沈した。
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