シュシュ
ハッとして見上げると、そこには水野さんの姿があった。

「・・・あ、えっと、水野さんでしたっけ?」

うろ覚えの記憶を何とか掘り出し応えた。


「…当たり」

「…どうかされたんですか?受付に何か用でも?」


「あ、うん、ちょっとね…今夜さ」

「ダメですよ」

「「え?!」」


水野さんが何か言おうとしてたのに、

玲子さんがそれを阻止した。

私は目を丸くし、水野さんは苦笑い。


「今夜は、私との約束があるんです」

「・・・そんな約束してましたか?」

私の言葉に、玲子さんは慌てて私のパンプスを踏んだ。

私はウッと、身を縮める。


「・・・じゃあ、次空いてる日ある?」

玲子さんに負けじと、水野さんは私に質問する。


「・・えっとですね」

私はスケジュール帳を取り出そうと身をかがめるが、


「この先もずっと、予約で一杯です」

と、玲子さんは答えてしまった。

・・・何で、そんなに水野さんから私を離そうとするのか?
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