シュシュ
水野さんは白旗を上げたようだ。

「…分かりました。じゃあ今度、

玲子さんがいないときに、予約することにするよ。

その時には食事にでも行こうね」


「え、あ、はい」

私の答えを聞き、水野さんは受付を離れて行った。


「・・・薫子ちゃん」

「…どうしたんですか?…そんなに怖い顔をして」


玲子さんは怒った表情。

私、何かしたのかな??そう思うと不安になる。

そして私の顔はみるみる強張っていく。


「水野には近づかない事」

「え?・・・玲子さん、水野さんの事知ってるんですか?」

「ええ、色々とね。水野は私と同期なの」


「へぇ~、そうなんですか」

「感心してる場合じゃないわよ。

水野は遊びでしか女と付き合わないから・・・

だから、水野の誘いは受けない事!薫子ちゃんの泣き顔なんて

私は見たくないから」


「私の事、心配してくれてるんですね」

「当たり前じゃない、薫子ちゃんみたいな子は

社長みたいに寛大な人じゃなきゃ、幸せにはなれないわよ」

…まだ、『キミ』事件の事を言ってるらしい。
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