シュシュ
「玲子さんに何か吹き込まれたかな?」

そう言った水野さんは苦笑いをした。


「何何?水野さんと何かあったの?」

みっちゃんは興味津々で身を乗り出した。



「…私の天敵」

私は迷うことなくその言葉を口にする。


みっちゃんは首を傾げる。

そりゃあそうだ、水野さんの本性を知らないのだから。


「玲子さんは何か勘違いしてるようだけど、

オレはそんな男じゃないよ」

水野さんはご飯を食べながら言う。


「私は玲子さんの言葉しか信じません」

私は毅然とした態度で言い放った。


私と水野さんの会話を聞いていたみっちゃんは、

こともあろうか、

水野さんの肩を持ち始めた。


「薫子、何があったか知らないけど、

水野さんは本当にいい人よ。薫子の先輩の言葉を

信じるのもいいけど、私は水野さんはいい人だと思う。

仕事も出来るし、部下の手助けもするし、

男女問わず、一目置かれる存在なんだから」


…確かに、私は水野さんの事を、何一つ知らない。
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