シュシュ
【飛鳥side】

携帯を切り、深く溜息をつく。

・・・薫子の近くをウロウロする水野が

目障りでたまらない。

社食を出て、迷うことなく薫子の携帯を鳴らしていた。

…水野との関係が気になり過ぎて、

いてもたってもいられなくて。


薫子の答えに安堵した。

『友人の上司…ただそれだけ』

男を知らないと分かってはいても、

もし水野と何かあったら、俺はどうにかなるかもしれない。


薫子にどんどんハマっていく自分が手に取るようにわかる。

もう、薫子なしじゃいられない。

そう思えるほどに。


・・・薫子とまた話しをする為に交わした約束。

その事が嬉しくて、さっき、薫子に仕事頑張ってくださいと、

言ってもらった事が嬉しくて、

仕事が面白いくらい捗っていく。


「社長、何か良い事でもあったんですか?」

石坂に言われ、

「…いや、何もないが?」

とあえて冷静に言い放った。


「…あ、わかりました。星野さんとなんかありました?」

「?!」

「…社長、分かりやすいですね」

そう言ってクスクスと笑いながら、石坂は、

社長室を出ていった。
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