シュシュ
「息切れしてるようだが?」

俺の問いかけに、少し黙りこんでしまった薫子。


「…薫子?」

『…すみません、お風呂に入っていたものですから』

そう言って謝る薫子。


…それならそれで、後でかけ直してくれれば済むのに。


「慌てて出なくてもよかったんだぞ」

『いいえ!せっかく時間まで指定してかけてくれたのに、

出ないわけには行きません』


「…真面目なんだな」

そう言うと、少し笑ってしまった。

『真面目と言うわけではないんですけど・・・

それより、お仕事終わったんですか?』


「あぁ、今さっき終わったところだ」

『こんなに遅くまで…お疲れ様でした』

薫子の言葉が何より嬉しい。

薫子がそう言ってくれるだけで、仕事の疲れが

とれていくような気がした。

…それから何分、話をしていたんだろう。

・・・気が付けば、もう10時になろうとしていた。


「長話て悪かったな、そろそろ切るよ」

『ぁ、そうですよね・・・飛鳥さんも、疲れてますよね』


「俺より、薫子の方がきっと疲れてるはずだ」

『そんな事・・・き・・・キャ~』
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