シュシュ
「薫子、一体何があった?」

しっかりと薫子を支え問いかける。

…そっと顔を上げた薫子が、俺の顔を確認すると、

部屋の中を指差していた。

その指先はかすかに震えている。

…この中に誰かいるのか?

俺は迷うことなく中に入っていく。


「・・・いました?」

俺の背中にピッタリと張り付いてる薫子の声が聞こえた。


「・・・何もいないが?」

部屋中くまなく、見回っても、誰もいない。

…逃げたのか?


「・・・おかしいな」

薫子はなおも俺に張り付いたままそう言ってる。


「・・・薫子、犯人の特徴は?」

そう言って振り返ると、

・・・薫子は目を丸くしている。


「…犯人の特徴・・・ですか?」

「ああ」

「これくらいです」

「・・・・」

薫子は、自分の指を丸くして見せた。

犯人はそんなに小さいモノ、なのか?
< 62 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop