シュシュ
4.好きだって、言えなくて
2人きりの時間を過ごしたのは、

この日が最初で最後だったんじゃないかと、

今では思う。


…現に、あの日からそろそろ2か月が過ぎると言うのに、

2人で会う事も、電話をすることも、

ままならない状態だった。


・・・仕事頑張ってるかな?

…今何をしてるんだろう?

・・・ちゃんとご飯食べてるかな?

気が付けば、そんな事ばかり考えていた。


「お疲れ様」

仕事が終わり、会社を出たところで、

みっちゃんが私に声をかけてきた。


「あ、みっちゃん・・・お疲れ様」

笑顔で言ったつもりだった。いつもと何一つ変わらない

そんな表情のつもりだったのに、

みっちゃんは、私のちょっとした変化に気が付いていた。


「どうした?何があったの?薫子がそんな顔するの、

私、初めて見たよ」

そう言ってみっちゃんは、困ったように笑った。


「・・・みっちゃんには、隠し事出来ないね」


「…バカね、友達でしょ?明日はお休みだし、

好きなだけ、話な!お姉さんが、聞いてあげるよ」


みっちゃんの言葉に、クスッと笑った。
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