シュシュ
『きっと待ってる』

…果たして本当にそうだろうか?

この2か月間、ただの一度も、薫子から連絡はない。

俺から掛けなかったから、気を遣ったのか?

…それとも、俺の事など、どうでもいいのか?

後者だったら、今後の身の振り方を考えなければいけない。

・・・そんな気がした。


・・・気を取り直し、最後の仕事を済ませる。

やっと、仕事を終えたのは、午後11時。

明日は、ゆっくりと休める。

俺はデスクの上を片付け、席を立った。


・・・薫子に会いたい。

会って薫子を抱きしめたい。


急にそんな衝動に駆られた。

…しかし、もうこんな時間だ。

薫子はもう眠っているかもしれない。

もし起きていても、明日は休日だ、誰かと遊んでいるかもしれない。


…そう思っても、

俺の足は、行きたい場所に、無意識に向かっていた。

もし会えなくても、薫子の住むあのマンションへ。


…車を走らせ、

薫子のマンションに到着した。

6階を見上げ、薫子の部屋を見る…灯りは点いている。

そう思った瞬間、俺は迷うことをやめた。
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