シュシュ
私の答えに、少し驚いている飛鳥さん。

「海は、嫌ですか?」

「・・・いや、思った答えと違ったから」


「…思った答え、ですか?」

首を傾げる私に、頷いて見せた飛鳥さん。


「ふつう女性なら、もっとにぎやかな所に行きたいのかと」

「…嫌いじゃないですけど、せっかくの二人の時間ですから、

誰にも邪魔されたくないと思いまして」


・・・それも、考えてた事だった。

それに、2人なら、告白もしやすくなりそうだし。

これは、いま思いついたんだけど。


「・・・海か、海なんて、いつぶりだろう?

仕事仕事で、長い事お目にかかってないな」


「じゃあ、尚更行きましょう。

海はいいですよ・・・時々、連れて行ってもらうんです」


『連れて行ってもらう』

その言葉に、飛鳥さんの顔が少し強張った気がした。


「…誰に?」

「エ?…あ~、兄に」

「お兄さん?」

「はい、仕事が忙しいのに、それでも、

私が元気がなかったら、連れて行ってくれるんです。

元気が出るからって」
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