渇望男の潤いペット
彼女が真剣な口調で語っていた

俺はお前がいるだけでいいんだ…

結婚だって嘘なんかじゃ無い

そう言えばこの子は一体どんな顔をするだろうか

「お金じゃないよ。俺は好きでやってることなんだから、そんな事考えなくていいから!」

「でも…」

「君が何処かに行きたくなるまで、家に居て欲しい」

「…はい」

彼女は少し安心したように窓の外を眺めた

彼女は人より色素が薄い

髪の毛も茶色いし、瞳の色はグレーがかった薄い緑色だし、肌に関してはずば抜けて白い

まるで、今まで一度も日光を浴びた事が無いんじゃないか、というくらい血管が透けるように白い

顔も母親譲りで美しい

まるで作られた人間みたいだ

この少女が大人になるとき、一体どんなに素晴らしい女になるか、想像するだけで楽しいくらいに美しい

願わくば俺の物になっていて欲しい

ずっと見ていたい




そう思いながら車を走らせた

あの雨の日この子を拾ったあの海へ


そしてこの子の母親が死んだあの海












「あの崖まで連れてってください」

俺は彼女の言うままに車を走らせた

「ここで私の母は死んだんです」
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