渇望男の潤いペット
「私は化け物です…」

「お前の母親は、常に水に浸かっていたわけじゃないだろ?」

「…私達は代々弱いものと強いものが交互に生まれるそうです。弱いものは強いものから、強いものは弱いものから。
母は弱い代なので、人間に近いんですけど、私は強い代なので、成魚に近づくにつれて水に還る準備をしなければならないんです」

「成魚?」

「15です。もうすぐ私は陸で生活できなくなります…」

信じられない!頭が全くついてこない…


「だからあの崖に行こうとしたのか?還るために?」

「あの人から逃げるために…」

宝田!!

「あいつは知ってるのか!?」

満月は力無く頷いた

「人魚を食べると不老不死になるんだそうです…」

な、なんて事!!

「じゃあ、あいつはお前を食べるためにあんなに必死に探してるのか!?」

満月はまた頷いた

「母は弱いからダメだったんです。それに私はまだ稚魚だったので、大人になるのを待っています…」

頭がおかしくなりそうだ!こんな話…



彼女はゆっくり服を直し、憔悴しながら立ち上がった

「満月、どこ行くんだ?」
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