渇望男の潤いペット
どこか遠くへ行こうか…

外国もいいな…

自然があって、静かで海が近いどこか…



俺はプラチナの指輪を彼女に送った。均等に青い宝石とダイヤをちりばめて


満月は泣いて喜んだ


幸せだった






しかし次第に満月は顔色が悪くなり、何も食べなくなってこもりがちになっていく

つわりがひどいと言っていた…

「大丈夫か?」

「ごめんなさい…起きれないの…」

「無理しなくていいよ…眠れるのか?」

「はい…」

どんなに心配したってこればかりは俺にもどうにもできない…

俺は辛そうな彼女を見守りながら黙って時間を過ごす…



「時宗さん…」

「ん?」

「…私、本当に時宗さんを愛してます…」

「うん、俺も愛してるよ…」

「世界で一番大切なんです…」

「うん、わかってるよ…」

満月が切ない瞳をむけるから、安心させようと手を繋いだ



しばらく時間が経っても満月は良くならず、次第に俺を遠ざけるようになっていく

イライラしてしまうから…そう言う彼女の青く痩せた顔が不憫だ

早くつわりなんて終わればいいのに…そう思っていた時、彼女は突然いなくなった
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