渇望男の潤いペット
一瞬で目の前が真っ暗になる

…し、死んだ?

「…そんなバカな…な、何で!?」

「僕たちの一族にとって、出産というのは命の危険と隣り合わせです。」

「な、満月の母親は普通に生きていたぞ?何で満月が?強い代だって言ってたのに!」

信じられない!

「母はあなたを愛してしまったから…」

「…え?」

「僕たちの一族には儀式があります。妊娠したら出産するための儀式が…
しかし、母はそれをしませんでした。だから死んでしまいました」

「何なんだ?その儀式って…?」



少年はグラスに目を落としながら、遠慮がちに続ける

「妊娠をした女は、出産に耐える体力をつけるために、子の父親を食べるそうです」

俺は何も答えられなくなった…

父親…夫を食べる?人魚が?

「妊娠すると、夫を食べようとする欲求が生まれるそうです…母はそれに耐えられず家を出たと言っていました…」

だから満月は…

愕然とする

俺のために死んだのか?

「それなら食べればよかったんだ!そんなに辛い思いをして、結局死ぬくらいなら、食べればよかったんだ!!」
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