ちょこれーとぼーい(♂)











 家の前に車が停車する。


 助手席から降りて志麻にぃがいる

 運転席の方に向かうと

 窓ガラスが自動で下に降りていく。





 「志麻にぃ。今日はありがとう。」

 「ん。いいってことよ。」

 「志麻にぃ。私頑張るねっ!!!。」



 にこっと微笑む。




 「明日上手くいく魔法をかけたるわ。」

 「うん!!!。」




 次の日に特別な事があるときは

 "上手くいく魔法をかけたる"といって

 手のひらに大好きなチョコレートをくれた。


 志麻にぃから貰ったチョコを食べると

 本当に魔法が効いたかと

 思わせるぐらいに何事も上手くいく。



 このおかげでチョコレートが好きになったと

 言ってもおかしくは無い出来事。








 志麻にぃの指先が

 私の頬に触れぐいっと手前に引く。



 開いた窓から志麻にぃの顔が出て

 志麻にぃの唇が私のおでこにあたる。





 「………し、志麻にぃ?!。」

 「んじゃ。明日頑張るんやでっ。」





 志麻にぃは何事も無かったように

 車のエンジンをかけ直して発進する。




 志麻にぃの唇の感触が残っている

 おでこを撫でながら

 車が見えなくなるまで

 その場に立ち尽くしてしまった。








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