ちょこれーとぼーい(♂)
大きな音が聞こえたと同時に
私の頭に衝撃を受ける。
「涼ちゃん?!。」
今まで黙っていた涼太が
私の頭を叩いては、
「はぁ~…。」
と大きなため息を漏らしていた。
「わりぃな。
今は彼女作る気しねぇんだわ。」
「……で、でも。」
「この馬鹿が言う通り
お前にはもっと良い人いるって。」
笑顔を女子に向けて
私の折りたたみ傘を差し出した。
「風邪引くからこれ使えよ。」
雨のせいであまり顔はわからないけど
女子は体をぶるぶると震わせている。
どうやら泣いているみたい。
差し出された折りたたみ傘を受け取ると
そのまま来た道を走って行った。
……あっ。……私の折りたたみ傘。
嵐が去ったかのような感覚を味わい
「学校に行こうぜ」とささやかに呟く
涼太の声で止めていた足を再び動かし
傘をささずに学校へと向かった。