ちょこれーとぼーい(♂)
……そう言えばあの黒縁眼鏡くん。
どっかで見たことがあるような
気がするし、しないような気もする。
でもちょっとだけ懐かしい感じ…。
まぁ、同じ学校だし
廊下ですれ違ったりしてるのだろう。
「おっ。」
口の中に入っているチョコレートが溶け出し
良い香りをだして口の中に広がる。
この瞬間が私の何よりの至福の瞬間。
「………チョコレート。」
志麻にぃの手当が終わったのか
右頬に湿布が貼ってある
黒縁眼鏡くんが私の前に立っていた。
……欲しいのかな。
私は右ポケットからチョコレートを取り出して
黒縁眼鏡くんの前にそっと差し出した。
涼太も志麻にぃも
私のことをじっとみていた。
「……あげる。
これ魔法のチョコレートだから
すぐに痛み取れるよ。」
志麻にぃの言葉をパクってみた。
案外この言葉を言うのは恥ずかしい。
黒縁眼鏡くんは何も言わずに
チョコレートを受け取る。
だけど、私は見逃さなかった。
チョコレートを受け取ったほんの一瞬。
無表情だった顔が悲しそうな表情に
なっていた事を━━━…