ちょこれーとぼーい(♂)







 黒縁眼鏡くんはぺこっと頭を下げて

 何も言わないまま保健室を後にした。


 …にしても

 あの悲しげな表情はなんだろう。

 ほんの一瞬だけだった。


 すぐに無表情に戻ったけど…。



 実はチョコレートが嫌いだったのかも。



 差し出されたから断り切れなくて

 嫌なことが顔に出たとか…。


 そうだったら黒縁眼鏡くんに

 悪いことしちゃったな。



 今度あったら謝っておこう。








 黒縁眼鏡くんが保健室を出た

 数秒後に1時限の授業終了を

 知らせるチャイムが鳴り響く。





 「さぁ。お前等も教室戻りや〜。」


 「うん。
  志麻にぃ本当にありがとう。」


 「ありがとう…志麻にぃ。」






 「志麻にぃちゃう。志麻先生や。」





 志麻にぃは華麗なツッコミをいれる。


 私達の中で先生であっても

 志麻にぃは志麻にぃ。

 呼び方など関係ないのです。





 重い腰をあげ、私達は保健室を後にする
 
 








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