ちょこれーとぼーい(♂)







 壁に右手をついて

 しゃがみこんでいると

 後ろから高い声が聞こえた。




 大勢の人が行き来する中、


 誰も私に声をかけなかったのに

 珍しく声をかけてくれたので

 ちょっと嬉しくなる。





 ゆっくり首だけ動かしながら

 振り返ると





 可愛らしい顔をした女……





 ではなく男子が同じように

 私の横でしゃがみこんでいる。







 ………えっ!!!、男子だったの?!?!。








 ヘアピンを"×"の形にして

 着けている前髪に


 ぱっちりとした2重瞼に

 大きな瞳が印象的な

 童顔のお手本になりそうなぐらいの

 可愛らしい顔をしている。


 ズボンを穿いているので

 男子だと思うが、


 女子のような高い変わりしてない声に

 童顔をプラスすると

 どっからどう見ても

 女子にしか見えない。



 この人が女子です。

 って言われても信じてしまうほどに。







 意外な人物に出会ったおかげか

 胸が痛くて苦しかったのに

 いつの間にか治まっていた。






 「どうしたんですか?!?!
  大丈夫ですか?!?!。」


 「立ちくらみだから大丈夫だよ。」


 「え!!!保健室に行きますか?!?!。」


 「ううん大丈夫っ。」






 心配そうな表情を浮かべて

 私の背中を摩ってくれている。



 なんと優しいお方なんだ…。











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