アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】
食事を終えた藤井くんはスーツに着替えて出掛けて行った
「タキさん…ごちそうさまでした
あまり、食欲出なくて…残してごめんなさい…」
お皿をキッチンへ運ぼうとすると…
「彩月さん…」
タキさんが、さっき、藤井くんが座っていた私の向かいに腰をおろした
「彩月さん…あなたに、辛い思いさせてごめんなさい…
小さな頃は、あんな冷たい顔を見せたことのない優しい子でしたのに…
奥様からの愛情が無かった分…私が…甘やかしすぎだんでしょうね…」
テーブルに肘をつき、額を支えるタキさんの苦悩な気持ちが伝わる
「タキさんが悪いんじゃないですよ…
私も、安易な気持ちのまま藤井くんと一夜を過ごしてしまったから…
私のせいでもあるんです…」
そう…本当に…
こんなにも藤井くんが激しく私を想っていてくれたなんて
想像もつかなかった…
「彩月さん…
ぼっちゃまには、私が説得しますからココを出て行ってもいいですよ…
私が、責任もってなんとかしますから…」
額を支えていた手を外し、テーブルに置いた私の手の上にタキさんの手が重なる
あぁ、やっぱりタキさんの手は、温かい…
タキさんの提案は嬉しい…
だけど…
私が勝手に出て行ったら、攻められるのは、タキさん…
こんなにも、私のことを大切に考えてくれるタキさんに
悲しい思いはさせたくない…
「いいえ…タキさん…
私は、勝手に出ては行きません…
藤井くんが、落ち着くまでいるつもりです…
それが…
私の償いでもありますから…」
「彩月さん…」
タキさんのもう片方の手が
重なり、私の手はすっぽりと包まれた
このマンションに
タキさんが
居てくれてよかった…
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18:00を過ぎた頃、帰ってきた藤井くんは
ソファーに座っていた私の向かいに座りテーブルに白い携帯を置いた
「彩月さん…約束です
栗本さんに電話して、告げてください…」
腕を組み、私をじっと見据えてる
怖い…
蛇に睨まれた蛙のような状態…
震える手で、テーブルの携帯を取る