アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】

手の中に納まった自分の携帯を見つめ、深呼吸をして開く
アドレス帳から、航の名前を探した
もう、それだけで胸の奥が痛くなる…


ディスプレイを数秒見つめ、通話ボタンを押した
2コール、3コール
まだ、仕事中かもしれない…
4コール…


ガチャ


「わ、わた…る…?」


確認するように、航の名前を呼んだ


『彩月っ!!!』


受話器から洩れるほどの声から
日曜の朝、車の中で交わしたキスが脳裏をよぎる


「航…心配かけて…ごめんなさい…」


『そんなことはいいっ!お前、今、どこだっ?すぐに迎えにいくからっ!』


航の声が耳から入ってきて私の身体を伝わり、切なくなる


「航…迎えには…来ないで…
私…航とは、もう会わない…一緒に生きて…ゆけない…」


瞳の奥から溢れるものを必死に堪えながら言う
藤井くんの鋭い視線が私に向いてる耐えられなくなり、顔を背ける


『お前…今、何つったっ?』


「もう、私のコト…忘れて…ううっ…
あの時のコト…なかった…ことに…して…うっ…お願いぃ…」


『何言ってんだお前っ!おい、彩月っ?!彩月っ?!』


本心とは違う言葉言うことが辛い…


「私…藤井くんと生きてく…から…だから…うぅっ…もう、私に構わないで…」


『なんでだっ?!おいっ!じゃ、なんで泣くんだっ!
おいっ!彩月ーーっ!!!!』


航の悲痛な叫びが受話器から聞こえたと同時に
持っていた携帯が手から滑り、床に転がった
私は、ソファーから崩れ落ち、堰を切ったように泣いた


3年前、省吾と別れた時と同じくらい泣き叫んだ


タキさんが、私の鳴き声でリビングまで飛んできて
私の身体を両腕で包んでくれたことまでは
覚えている…


そこからは、意識が途切れてしまった…











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