アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】

そんな藤井くんの隣に、タキさんが座り、
藤井くんの拳をタキさんの掌が包む


「ぼっちゃま、彩月さんを解放してあげて下さい…

私は、昨日、彩月さんにこのまま、逃げて下さいと言いましたが、
彩月さんは、ぼっちゃまの気持ちが落ち着くまで
ここにいる、と仰いました
それが、償いだから…とまで…

彩月さんの身体も心配ですし…
今回はぼっちゃまの行き過ぎた行動に私も、憤慨しております!

ですから、しばらく、お暇いただきたく思ってます!」


タキさんの手は藤井くんの手を包んだままだけど、
毅然とした態度と有無を言わさぬ口調でタキさんは、藤井くんに向かって言った


「タキさんっ!!」


視線を落としていた藤井くんが、ハッとした表情で
タキさんを見て考えてから口を開いた


「わかりました…彩月さんを…解放します…」


観念したように、呟いた


私…帰れるの…?


横にいる千夏と小野田さんの顔を問いかけるように交互に見ると
2人とも、ゆっくり頷いた



そして、善は急げではないけど、もう、ココにいる必要はないから
すぐに出よう、と千夏と小野田さんに言われ、


着ていたルームウェアから、初めてココへきた時の私服に着替えた
きちんと、アイロンがかけてあって、
肌触りがとても気持ちいい。
タキさんが、私のためにきちんとしておいてくれたんだ
タキさんの気持ちが嬉しい。


そして、千夏と相談の結果、
私ひとり自分のアパートに戻るのは心配だから
と言って
千夏のアパートにしばらく滞在させてもらうことになった




今は、小野田さんの車で移動してる


マンションを出る時、タキさんが、涙を浮かべていた
たった数日だったけど、タキさんが、本当のお母さんのように
接してくれた時間が忘れられない
だから、藤井くんも、タキさんには頭が上がらないんだね


そして、どうしてここに私がいるかわかったのかを千夏と小野田さんに聞いた
すると
小野田さんが、ベランダに出た時の私を隣のビルの一室から見たそう
そして、マンションの所有者をツテを使って調べ、あの部屋の購入者も、
あらゆる手を使い、調べたそう


あらゆる手って?
とは、聞かないように…
と、小野田さんにクギをさされた…
ちょっと、危険なニオイ…?


そして、あのマンションの名義が藤井くんのお父さんだと確定したから、
千夏と2人で尋ねたそう


藤井くんのお父さんを潰してしまうような知り合いや、
元警視庁の友人がいることを仄めかしながら、先ほどの話になったそう


小野田さんって、一体何モノっ?!


「あー、でも良かったぁ~ホントに良かったぁ~
もう、先輩と一緒に働けないのかと思いましたもん…」


後部座席に2人で座り、千夏は、私の手を握ってる


「そんなぁ、私、死ぬワケじゃぁないのに…」


「でも、先輩、やっぱり少し痩せましたよ、

模擬結婚式のドレス、サイズ直ししなきゃですよ、
胸も落ちたんじゃないです?パット入れなくちゃですよっ」

服の上から、遠慮もなく、私の胸を触って確認する。


「やだぁもぉー、千夏ったらぁ~」


小野田さんは、そんな私たちのやり取りを、
バックミラー越しに、口元を緩めながらチラチラと見ていた





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