アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】
「何年ぶりだ?」
医務室で、左手首の軽い捻挫だと診断されて湿布を施されてから
空港内のVIPしか入れないラウンジに私たちは移動した
どうやら航がココの会員らしい…どんだけセレブよ!
とは、いいつつ
航と私は
お茶飲みながら、寛いじゃったりしてる…
い、いいのかしら…
「航が高校卒業して都会の大学行っちゃった以来だから、
もう10年以上会ってなかったんだねー」
カップの中の紅茶に視線を落とし、ふと、航の卒業式の日の朝の記憶が蘇る。
私の中の航の記憶は、学生服を着た航が最後。
「お前…結婚は?…して…ないか…」
私が答える間もないまま、
私の左の指に視線を移し、リングがない事を確認し、最後は小さな声になった。
「うん、別に、もう、するつもりないし…仕事も面白いから…
航、そういえば、海外に行ってたんじゃないの?
今回は、一時帰国?」
あまり、いろんなコトを突っ込まれて聞かれたくなかったから
私の方から話題を逸らした
航は商社勤務だから、世界中飛び回ってることは、お母さんを通して聞いたことある。
私と航の実家は近くだし、お母さんとおばさん、仲いいし。
でも、ここ何年かは、海外へ行ったきりだって、言ってたな。
「4年のニューヨーク勤務終えて、帰ってきたんだ」
「ふーん、ニューヨークかぁ、すごいねぇ」
何気に、壁の時計に目をやると、今日の最大の仕事の時間が迫っていた。
「あ!ごめん、私、これから仕事なの、先、行くね」
ソファーから立ち上がった私の手を、航の手が掴んだ。
えっ?!
掴まれた手が熱くない熱を発して、一瞬で私の身体全体にそれが回った
なんだろう…
口には言い表せないものを感じた