現在進行形。
目が覚めると、見えたのは真っ白。
そこがえらく隔離された部屋の天井であることを理解するのには、少し時間がかかった。
ここは、何処だろう。
何故こんなところにいるのだろう。
とりあえず私は身体を起こしてカーテンに手を伸ばす。
そこから射し込む眩しい光が、私に直撃した。
あ、思い出した。
私は徐々に記憶を無くす病気。
だからいろんなことが思い出せないんだ。
……きっと、今日のことも忘れてしまうのだろう。
でも、そんな私にも覚えていることがあるようで。
それは、った1回の授業で聴いた、状態動詞の“know”について。
状態動詞である“know”は、現在進行形を表す“ing”をつけなくても進行形を表す。
でも、それは、どうやら私には当てはまらないみたいだ。
“know”は普通、過去からの継続で“知っている”を表す。
でも私には、一瞬のことだ。
“知っている”ことが、継続しない。
……忘れちゃう、から。