ムショクノセカイ
ハジマリ
「なぁー、安良」
俺の名は、田早安良。
昼休み、ぼーっとしていると話かけてきたコイツ。長崎竜也。
「ん…何?」
「そんな顔しなさんなって…」
よほど俺が嫌な顔をしていたのか、苦笑いを向けている。
「もしさ、仕事がなくなったらどうなるかな?」
「仕事ぉ?」
ああ。と短い返事をして、俺の前の椅子に腰掛け、こちらを向いた。
「んー…。あ!学校行かなくてよくなるじゃん!」
「確かに!先生が働くなるからなぁ」
「あーあ、仕事なんてなくなくなんねーかな。」
「なー!」
こんな話ありえなすぎて、2人で笑い合った。
この時、本当に仕事がなくなるなんて俺達は夢にも思っていなかった。