花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
触れてはいけない場所
それは朱美ちゃんと出かけてから、一週間ほど経った時だ。

あれから、朱美ちゃんからたまにメール来たりして。
仕事も特に何の変化もないままで。

また、いつもの日常が戻ってきたと思ってた。


「店長、俺、今日先あがりますね。
彼女と約束あって」

早くに閉店作業を終えたキムが、自分の荷物が入ったバッグを持つと、俺に声をかける。


「お、門限平気なの?」

「はい、どうにか」

「楽しんで来いよー」

「うぃっす!お疲れ様でした」

「お疲れー」

キムは一度、俺に頭をペコリと下げてから急ぎ足で帰って行った。
俺はまだ、閉店作業をしながらコーヒーを飲む。


他店から送られてきたFAXなどに目を通して、一つ欠伸をした。

その時に、携帯が震える。
メールを確認すると、侑美ちゃんだった。


最近、メール来てなかったし、どうしたんだろうって思ってたけど。
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