花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
【久しぶりです。
少し、今から会えませんか?】


………今から?


【後少しで仕事終わるよ。
明日も仕事だし、あまり長居出来ないけど平気かな?】


メールを返信して、俺はコーヒーに手を伸ばした。
すぐに震える携帯。


【大丈夫です。実は、今お店の外にいます。】


「……は」

コーヒーを口につけるより先に、その言葉が俺から出ていた。
ぎしっと音を立てながら、椅子の背にもたれた体を携帯へと引き寄せる。


前かがみの体勢になってから、俺はコーヒーを置くと返事を打ち込んだ。


【わかった。危ないから、すぐ終わらせていく。
明るいとこにいて。】


今、してた事は明日に回せる仕事だし。
だから、明日早く来てすればいい。


“あの女、元光の幹部だ”


いくら、そうであっても。
女の子なんだ。

俺にとったら、侑美ちゃんも、佐緒里ちゃんも、朱美ちゃんも。
………麻美だって。

女の子なんだ。
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