花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
急いで俺は帰宅準備をすると、カバンを持って外へと出る。
従業員通路から出て、侑美ちゃんを探した。


自転車置き場の横の街灯の下にぽつんと立っていた、侑美ちゃん。
とりあえず、無事なのがわかり、ホッとする。


「侑美ちゃん」


声をかけられた侑美ちゃんはハッとして、顔を上げると俺を見た。
それから、少しだけ微笑む。


俺が目の前まで行くと、

「お疲れ様です」

侑美ちゃんはそう言った。


「ありがと」

「急にすみません」

「ううん、平気。どーしたの?なんか、あった?」

「……私、やっぱり哲さん、好きなんです」

「………」


目をパチパチとさせて、侑美ちゃんを見る。
だけど、その顔は真剣そのものだった。


「付き合ってくれませんか」


直球に、ストレートに、俺にそう言う侑美ちゃん。
こんなに真っ直ぐに気持ちをぶつけられた事なんて、久しぶりだ。
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