花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「………」
暫く、侑美ちゃんと見つめ合った後。
俺はゆっくりと、侑美ちゃんに告げた。
「ごめんね、俺。
今、誰とも付き合いたくない」
これが、俺の本心。
麻美以上が見当たらない限り、俺は誰とも付き合いたくない。
だけど、麻美以上なんて。
もう、見つからないんじゃないかって。
そう、思ったりもして。
たまに、よくわからなくなる。
「……んで」
「え?」
ぽそっと何かを呟く侑美ちゃん。
問い返すと、侑美ちゃんは睨むように俺を見て叫んだ。
「何で、麻美なんだよ!!!」
「っ!!!」
その声で、周りを歩いてた人が何事かと俺達を見る。
「麻美より、私のがいいはずだ!
あんな女に負けるわけねーんだって!!」
「…侑美ちゃん?」
「哲さん、私のが好きだって!
あんな女より!先に逝っちまった女よりも。
私なら置いてかない!一人にしない!
ここまで苦しめない!」
「…………」
「凛さんの男にだって、色目使ってた奴をどうして好きなんだよ!
あんなアバズレ女!!」
必死に、色々麻美の事を言う侑美ちゃん。
興奮する侑美ちゃんとは裏腹に。
俺の、心はどんどんと冷えて行く。