花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「でも、俺には元レディースだとか、そんなんどーでもいいのね?
女の子は女の子だし。
だけど、愛した女は麻美。ただ一人。
だから悪いけど…俺帰るね?」


まだ、放心している侑美ちゃんから踵を返すと俺は自分のバイクまで向かう。


苛立ちが止まらない。
ここまで、ぐちゃぐちゃにされたのは久々だった。

だから、正直心が追いつかない。


「哲さん!!!」


後ろから侑美ちゃんの声が聞こえる。
だけど、俺は振り向かない。


無視しながら、足を進める。


「私っ、惚れたの、あの時なんです!
仲間が…哲さんを刺した時なの!!」


それに。
さすがの俺も足を止めた。


でかい声で叫ぶには物騒すぎる内容。


後ろから足音が近付く。
それが侑美ちゃんのモノだって言うのはすぐに理解出来た。
だけど、どうしても振り向く気にはなれない。


その時にもしも惚れたのならば。
何故…今更?

こんなに時が経ってからなんだ?
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