花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
専用駐輪場に停めてあった自分の原付に跨ると、俺はアクセルを捻り発進させる。
10分ほどで自宅に到着し、部屋へと入った。


無言で靴を脱ぎ捨て、俺はベッドへと一直線に向かった。

洋服のまま寝るのは嫌いだ。
大事な洋服が皺になるし。

だけど。
…疲れた。


俺、麻美を好きでいたらダメだった?
でも、俺麻美以外を好きになれないんだよ。

わかんないけど、麻美以外の女に。

キスしたいと思えない。
付き合いたいって思わない。
恋しくて、泣けたりしない。
会えなくて、泣けたりしない。
ドキドキしない。


だから、俺。
麻美以外無理なんだって。


今でも、麻美の事を考えたら涙を流せると言うのに。


消化できない、この気持ちほど厄介なものはないね。
恋愛って、簡単だって思ってたのにな。昔は。

年を重ねるほどに、難しくなっていく。
< 112 / 231 >

この作品をシェア

pagetop