花蓮~麻美が遺した世界~【完結】
「お、もそろ止むな」
「そうだな」
俺と拓は空を見上げてから、
「どこ行く」
「んー海」
「…海って…。車ねえし」
「俺も」
「知ってる」
「とりあえず、駅前でも行く?」
「そうすっか」
そう会話をして、並んで駅前に向かって歩き出した。
「あー、明日仕事だりー」
「俺は仕事好きだけどね」
拓が欠伸をしながら、言ったのに俺は返す。
「哲ちゃんって、結構仕事人間だよね」
「そう?まあ、好きで入った仕事だからね」
「だよねー。俺は卒業して先輩に誘われて鳶入ったからな」
「あはは、拓にぴったりだけど」
「そうか?」
「うん、カッコいい」
「…男に言われても嬉しくねー」
「あはは、そう?俺は拓カッコいいと思ってるけど」
「哲ちゃん、本気そうだから辞めて」
ぶはって俺が吹き出したのを、細目で見る拓。
俺が女なら拓選んだかもってだけで、俺は女がいい。
それに、菜々美ちゃんに殺される。